極限値

限りなく近づくとき

これからは「限りなく近づく」という表現よく出てくるようになると思います。
「限りなく近づく」とは、一体どのように近づくことなのでしょうか?

$\displaystyle{x}$$\displaystyle{3}$に「限りなく近づく」とは、
xが3にならない程度に近づくということです。

例えば、
$\displaystyle{x=2}$
$\displaystyle{x=2.9}$
$\displaystyle{x=2.99}$
というように、xが徐々に3に近づいていくことをいうのです。
しかし、3には絶対になりません!!!
3にならない程度に近づくのです。

3にほとんど近い値なら、どんな数だって近づいていけるのです。
だから、
$\displaystyle{x=2.999}$
$\displaystyle{x=2.9999}$
$\displaystyle{x=2.99999}$
というように3にものすごく近い数でも、3でなければどんどん近づいていくことができます。
しつこいようですが、3には絶対なりません。
つまり3でなかったら、どこまで近づいていってもよいわけです。

このことを、限りなく近づくと言います。

この例の場合、小さい数から近づいていくことを考えましたが、
以下のように、
$\displaystyle{x=3.1}$
$\displaystyle{x=3.01}$
$\displaystyle{x=3.001}$
のように、上から近づいていっても、「限りなく近づく」といいます。

極限値

関数$\displaystyle{f(x)}$があるとします。

このとき、$\displaystyle{x}$$\displaystyle{a}$に限りなく近づくとき、
関数$\displaystyle{f(x)}$は、どの値に限りなく近づくでしょうか、というのを考えます。

このときの限りなく近づいていく先の値のことを、
$\displaystyle{\lim_{x{\rightarrow}a}f(x)}$
というように表します。

例えば、上の例でxがaに限りなく近づくとき、f(x)がαに限りなく近づくとすれば
$\displaystyle{\lim_{x{\rightarrow}a}f(x)=\alpha}$
と書きます。
この、実際に近づいてく値(この場合$\displaystyle{\alpha}$) のことを、極限値といいます。


それでは、以下に例を出していきましょう。

$\displaystyle{\lim_{x{\rightarrow}3}(x+1)}$ これは、xが3に限りなく近づくとき、x+1はどの値に限りなく近づくでしょぉか?という意味です。
この場合、
$\displaystyle{x=2}$
$\displaystyle{x=2.9}$
$\displaystyle{x=2.99}$
とxがどんどん3に近づいていくと、
x+1も
$\displaystyle{x=3}$
$\displaystyle{x=3.9}$
$\displaystyle{x=3.99}$
となり、直感的に、4に限りなく近づいていくんだな〜、というのが見えてきます。
よって
$\displaystyle{\lim_{x{\rightarrow}3}(x+1)=4}$
となります。


また、
$\displaystyle{\lim_{x{\rightarrow}2}x^2}$ この場合はどうでしょうか?
xが2に限りなく近づくとき、x2はどの値に近づくのかを前と同じように調べてみます。
$\displaystyle{x=1}$
$\displaystyle{x=1.9}$
$\displaystyle{x=1.99}$
とすると、
$\displaystyle{x^2=1^2}$
$\displaystyle{x^2=1.9^2}$
$\displaystyle{x^2=1.99^2}$
となります。
これを見ると、22、つまり4に限りなく近づいていくのが分かるので、
$\displaystyle{\lim_{x{\rightarrow}2}x^2=4}$
となります。


気づいたと思いますが、基本的に極限値は代入するだけで求まります。
今までのように限りなく近づいていく様子から値を求めなくても、最初から代入すれば極限値もすぐ求まったのですネ!!!

代入だけでは極限値は求まらない?

前回は代入するだけで極限値が求まると書きましたが、
世の中それほど甘いものではありません(泣)
代入するだけでは求まらない例もたくさんあります。

例えば、以下の例がそうです。
$\displaystyle{\lim_{x{\rightarrow}0}\frac{x^2+2x}{x}}$ これに、そのままx=0を代入してしまったら、
なんと$\displaystyle{\frac{0}{0}}$というワケノワカラナイ数になってしまいます。
分母が0という数は存在しません。
また、xは0にとても近いというだけで、0そのものではありません。
こういう場合、どうしたらよいでしょうか?

極限値を解くコツとしては、このようなワケノワカラナイ数にならないように、いろいろ変形してみることです。
例えば、この式の場合、分母と分子をxで割ったら、
$\displaystyle{\lim_{x{\rightarrow}0}x+2}$ となります。
これでしたら、もう普通に代入できる形ですので、
x=0を代入して答えは2であることが分かると思います。

だから、
$\displaystyle{\lim_{x{\rightarrow}0}\frac{x^2+2x}{x}=2}$ です。

このように、そのままでは代入しても解けないような極限値は、
いろいろ式を変形して解くことです。

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