演算子に関して閉じている
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「演算子について閉じている」とは?

二項演算子とは、二変数関数のことなんだ、ということは分かっていただけたでしょうか?
しかし、それだけでは二項演算子とはいいません。二項演算子は演算子に関して閉じている という重大な性質を持たなければ二項演算子とはいいません。
普通の二変数関数に、この「演算子に関して閉じている」という性質が加わって初めて二項演算子と呼ぶことができるのです。



ところで、「演算子に関して閉じている」とは、一体どういう意味なのでしょうか?


まず、普通の四則演算子「+、−、×、÷」という演算子について考えてみましょう。
それではまず最初に、自然数の範囲だけ考えるとします。

例えば、自然数+自然数は必ず自然数ですよね?
そう、それを「自然数は+という演算子に関して閉じている」と言うのです!!!

それでは「−」、つまり引き算はどうでしょうか?
自然数−自然数は必ずしも自然数となるとは限りません。
確かに3−2の答えは1となり、この場合でしたら自然数同士で「−」を演算させても自然数になります。
しかし3−4の答えは−1で負の数になってしまい、自然数とはなりません。
この場合、「自然数は−という演算子に関して閉じている」とはいえません。

つまり、演算子に関して閉じているとは、その演算子で演算させても、もとの台集合に必ず戻るという性質のことです。
このように、「自然数と自然数を演算したら自然数じゃなくなった!!!」ということが絶対起こらないようなことを、演算子に関して閉じているというのです。
自然数−自然数は自然数とは限らないため、自然数は「−」という演算子に関して閉じていません。
もちろん、整数−整数は必ず整数であるため、整数は「−」という演算子に閉じているといえます。


それでは掛け算はどうでしょうか?
整数×整数は必ず整数となります。
つまり、整数は×という演算子に閉じています。
掛け算の場合、自然数も×に閉じていそうですね?


それでは割り算はどうでしょうか?
残念ながら、整数は「÷」に関して閉じていません。
例えば1÷3を考えましょう。これは明らかに整数ではありません。
1÷3=
このように、分数になってしまうので、明らかに整数÷整数は整数になるとは限りません。
つまり、整数は÷に関して閉じていないのです。

それでは、有理数はどうでしょうか?
たしかに有理数の中に分数は含まれるし、これは一見÷に関して演算子に閉じていそうです。
しかし、残念ながら÷は有理数にも閉じていません。
「え?」って思ったら0を考えてください。
割り算では、0で割ることは許されません。
つまり、有理数の一つである0で割っても有理数になることはできないので、有理数は÷に閉じていないのです。
0を除いた有理数は÷に関して閉じています。


もちろん+、−、×に関して、有理数は閉じています。

しかし、有理数から0を除いた集合は、+、−に関して閉じていません。
なぜなら、3−3=0ですよね?
0は「有理数から0を除いた集合」の中に入っていませんから・・・

他の演算子にも・・・

二項演算子は一種の二変数関数であり、それが演算子に閉じているというものでした。
それさえあれば、二項演算子は本当に何でもよいのです。

例えば$\displaystyle{\circ}$という演算子を
$\displaystyle{a{\circ}b=a^b}$
のように定義しても大丈夫です。 この場合、自然数は$\displaystyle{\circ}$に関して閉じています。
しかし、整数や有理数や実数には閉じていなさそうですね。
このことは、余裕があれば自分で確かめてみましょう。

また、
$\displaystyle{a{\circ}b=\sin(a+b)}$
のように演算子$\displaystyle{\circ}$を定義しても構いません。
この場合、整数では$\displaystyle{\circ}$に関して閉じていませんが、
実数ならば$\displaystyle{\circ}$に関して閉じていそうです。


気づいたと思いますが、
二項演算子は必ずしも
$\displaystyle{a{\circ}b=b{\circ}a}$
になるとは限りません。
逆にしたら値が違ってくる場合もあります。
例えば、一つ目の例ではaとbの値を逆にしたら値が違ってきます。
しかし、そんなものでも二項演算子として許されます。
例えば、身近な例で逆にしたら値が違ってくる二項演算子といえば、行列の積でしょうか?

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