剰余類
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群の元に、同値関係を定義する

ここでは、順序関係のページの剰余類のページを前提としています。気を付けてください(>_<)

$\displaystyle{\mathbb{G}}$を群とし、 $\displaystyle{\mathbb{H}}$をその部分群とします。
さて、群$\displaystyle{\mathbb{G}}$上に同値関係$\displaystyle{\sim}$を定義したいと思います。

$\displaystyle{a \sim b \Leftrightarrow ab^{-1} \in \mathbb{H}}$
と定義すると、この関係演算子$\displaystyle{\sim}$は同値関係になります(→証明)。

で、同値関係がある、ということは・・・
群を同値類に分けることができるのです!!



つまり、これからやることは、
第一に群$\displaystyle{\mathbb{G}}$ の部分集合$\displaystyle{\mathbb{H}}$を使って、
その同値関係$\displaystyle{\sim}$を考える。

第二に、その同値関係により、同値類に分解する
こうして、商集合を作る


ということをやっていきます。

その前に・・・

同値類$\displaystyle{\sim}$
$\displaystyle{a \sim b \Leftrightarrow ab^{-1} \in \mathbb{H}}$
と定義しましたが、
$\displaystyle{a \sim b \Leftrightarrow b^{-1}a \in \mathbb{H}}$
と定義することもあります(違いは、元aとbを交換しただけです)。


$\displaystyle{b^{-1}a \in \mathbb{H}}$のとき、 $\displaystyle{a,b}$$\displaystyle{\mathbb{H}}$に関して左合同であると言います。
この左合同という同値関係によって作られた商集合のことを左剰余類と言います。


同様にして、
$\displaystyle{ab^{-1} \in \mathbb{H}}$のとき、 $\displaystyle{a,b}$$\displaystyle{\mathbb{H}}$に関して右合同であると言います。
この右合同という同値関係によって作られた商集合のことを右剰余類と言います。
(注:“商集合”というのは、同値類を全て集めた集合のことです!!)



一般的に右剰余類と左剰余類は同じとは限りませんが(後で例を挙げます)、
もし
右剰余類=左剰余類
のとき、単に剰余類と呼ばれます。

なぜ“左”剰余類?

あんまり左(or右)剰余類の“左”という意味が分かりにくいかもしれません。
いったいこの“左”とは、どういう意味かというと・・・

例えば、群$\displaystyle{\mathbb{G}}$$\displaystyle{b}$という元があるとして、
$\displaystyle{C_b = \{a | b^{-1}a \in \mathbb{H} \}}$
つまり、$\displaystyle{b}$と左合同な元を全て集めた集合を$\displaystyle{C_b}$とおきます。

ここで
$\displaystyle{b^{-1}a \in \mathbb{H} \Leftrightarrow a \in b\mathbb{H}}$
となります。
$\displaystyle{b\mathbb{H}}$の意味は、前の集合と元との演算でやりましたね?


以上のことより
$\displaystyle{C_b=b\mathbb{H}}$ と考えられませんか?
つまり$\displaystyle{b}$と左合同な元全体からなる集合は$\displaystyle{b\mathbb{H}}$と書けるのです。


同様に$\displaystyle{b}$と右合同な元全体からなる集合は$\displaystyle{\mathbb{H}b}$と書けます。

具体的に商集合を作ってみる

さてさて、ここにもあるように、
剰余類を全て集めた集合を“商集合”といいます。

まぁざっと説明しても分かりにくいと思いますので、例を出します。
何回もこの群は出てきますがm(_\_)m
$\displaystyle{e}$ $\displaystyle{r}$ $\displaystyle{l}$ $\displaystyle{a}$ $\displaystyle{b}$ $\displaystyle{c}$
$\displaystyle{e}$ $\displaystyle{e}$ $\displaystyle{r}$ $\displaystyle{l}$ $\displaystyle{a}$ $\displaystyle{b}$ $\displaystyle{c}$
$\displaystyle{r}$ $\displaystyle{r}$ $\displaystyle{l}$ $\displaystyle{e}$ $\displaystyle{b}$ $\displaystyle{c}$ $\displaystyle{a}$
$\displaystyle{l}$ $\displaystyle{l}$ $\displaystyle{e}$ $\displaystyle{r}$ $\displaystyle{c}$ $\displaystyle{a}$ $\displaystyle{b}$
$\displaystyle{a}$ $\displaystyle{a}$ $\displaystyle{c}$ $\displaystyle{b}$ $\displaystyle{e}$ $\displaystyle{l}$ $\displaystyle{r}$
$\displaystyle{b}$ $\displaystyle{b}$ $\displaystyle{a}$ $\displaystyle{c}$ $\displaystyle{r}$ $\displaystyle{e}$ $\displaystyle{l}$
$\displaystyle{c}$ $\displaystyle{c}$ $\displaystyle{b}$ $\displaystyle{a}$ $\displaystyle{l}$ $\displaystyle{r}$ $\displaystyle{e}$
このとき、部分群$\displaystyle{\mathbb{H}}$として
$\displaystyle{\mathbb{H}=\{e,a\}}$
を選びます。
さて、左合同な元の集合を各元に関して求めてみると
$\displaystyle{e\mathbb{H}=\{e,a\}}$
$\displaystyle{r\mathbb{H}=\{r,b\}}$
$\displaystyle{l\mathbb{H}=\{l,c\}}$
$\displaystyle{a\mathbb{H}=\{a,e\}}$
$\displaystyle{b\mathbb{H}=\{b,r\}}$
$\displaystyle{c\mathbb{H}=\{c,l\}}$
となりました。

よって左剰余類は
$\displaystyle{\{\{e,a\},\{r,b\},\{l,c\}\}}$
となります(もちろん、重複を含んでいます)。


次に右合同な場合は、
$\displaystyle{\mathbb{H}e=\{e,a\}}$
$\displaystyle{\mathbb{H}r=\{r,c\}}$
$\displaystyle{\mathbb{H}l=\{l,b\}}$
$\displaystyle{\mathbb{H}a=\{a,e\}}$
$\displaystyle{\mathbb{H}b=\{b,l\}}$
$\displaystyle{\mathbb{H}c=\{c,r\}}$
なので、右剰余類は
$\displaystyle{\{\{e,a\},\{r,c\},\{l,b\}\}}$
となります。


見て分かる通り、この部分群を選んだ時には右剰余類と左剰余類が一致していませんよね?

正規部分群

それでは、部分群$\displaystyle{\mathbb{H}}$として、 “正規部分群”をもっていきましょう。

ところで、前回も紹介したように
正規部分群というのは任意の$\displaystyle{\mathbb{G}}$の元$\displaystyle{g}$に関して、
$\displaystyle{g\mathbb{H}=\mathbb{H}g}$
が成り立つような部分群$\displaystyle{\mathbb{H}}$のことでした。

これは!!!!
見て分かる通り、右剰余群と左剰余群が一致します。


例えば、三角形の回転の例では
$\displaystyle{\mathbb{H}=\{e,r,l\}}$
が正規部分群でした。


念のために
$\displaystyle{e\mathbb{H}=\{e,r,l\}}$
$\displaystyle{r\mathbb{H}=\{r,l,e\}}$
$\displaystyle{l\mathbb{H}=\{l,e,r\}}$
$\displaystyle{a\mathbb{H}=\{a,c,b\}}$
$\displaystyle{b\mathbb{H}=\{b,a,c\}}$
$\displaystyle{c\mathbb{H}=\{c,b,a\}}$

$\displaystyle{\mathbb{H}e=\{a,b,c\}}$
$\displaystyle{\mathbb{H}r=\{c,a,b\}}$
$\displaystyle{\mathbb{H}l=\{b,c,a\}}$
$\displaystyle{\mathbb{H}a=\{e,r,l\}}$
$\displaystyle{\mathbb{H}b=\{l,e,r\}}$
$\displaystyle{\mathbb{H}c=\{r,l,e\}}$

なので、左剰余類とも右剰余類とも
$\displaystyle{\{\{e,r,l\},\{a,b,c\}\}}$
となります。

このように、左剰余類と右剰余類が一致するとき、ただ単に剰余類といいます。

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