$\displaystyle{\mathbb{R}}$を群として、
その部分集合
$\displaystyle{\mathbb{S}}$を考えます。
たとえ、
$\displaystyle{\mathbb{S}}$が部分群になっていなくても、
- 手順1. $\displaystyle{\mathbb{S}}$の全ての元の逆元を新しく加える。
- 手順2. 手順1.で作られた集合の元を何回か(有限回)演算させて得られた元もまた、新しく加える。
という手順で適当な元を加えることにより、部分群にすることができます。
これじゃあとても分かりにくいと思うので、例を挙げて説明していきます。
整数
$\displaystyle{\mathbb{Z}}$は演算子
$\displaystyle{+}$に関して群となります。
この整数の部分集合
$\displaystyle{\mathbb{S}}$を、
$\displaystyle{\mathbb{S}=\{6,9\}}$
ととります。
この集合
$\displaystyle{\mathbb{S}}$は、逆元もないし演算子に関して閉じてもいないので、部分群ではないです。
さて、これに手順1.により、新しく元を含めていきます。
この集合は
$\displaystyle{6}$と
$\displaystyle{9}$の二つの元を含んでいますが、
$\displaystyle{6}$の逆元は
$\displaystyle{-6}$に、
また
$\displaystyle{9}$の逆元は
$\displaystyle{-9}$になります。
こうして、部分集合
$\displaystyle{\mathbb{S}}$に、手順1.によって新しく元を加えた集合を
$\displaystyle{\mathbb{S}'}$とすると、
$\displaystyle{\mathbb{S}'=\{-9,-6,6,9\}}$
となります。
さて、次は手順2.ですねっ
まず、集合
$\displaystyle{\mathbb{S}'}$の適当な元を取ってきて、演算させます。
例えば、
$\displaystyle{-6}$と
$\displaystyle{6}$をとってくると、
$\displaystyle{-6+6=0}$で、
整数
$\displaystyle{\mathbb{Z}}$の演算子
$\displaystyle{+}$に関する単位元である
$\displaystyle{0}$ができました。
今度は、
$\displaystyle{-6}$と
$\displaystyle{9}$をとってきて演算させると、
$\displaystyle{-6+9=3}$になり、
$\displaystyle{3}$が新たに加わります。
同様に、
$\displaystyle{-9}$と
$\displaystyle{6}$をとってきて演算させ、
$\displaystyle{-3}$をつくり・・・
このように、どんどん繰り返していって新しい元を加えていきます。
そうして新たに作られた集合を
$\displaystyle{\mathbb{S}''}$とすると、
$\displaystyle{\mathbb{S}''=\{\cdots,-6,-3,0,3,6,\cdots\}}$
となります。
これは、(負の数や0も含んだ)3の倍数を全て集めた集合と考えられます。
(なんで、3の倍数全体からなる集合になったの?という証明はこの場では省略します・・・)
これでも、確かに演算子に関して閉じているので、群になります。