$\displaystyle{G}$の空でない部分集合$\displaystyle{H}$$\displaystyle{G}$の部分群であるための必要十分条件は、
$\displaystyle{a, b \in H \Rightarrow a^{-1}b \in H}$ であることを示せ

必要であること:

$\displaystyle{H}$は群ですので、
当然、どんな元も逆元を持っています。
また、演算子に閉じているという性質より、

もし$\displaystyle{H}$が群だとしたら
$\displaystyle{a, b \in H \Rightarrow a^{-1}b \in H}$
を満たしていることはすぐ分かると思います。


十分であること:

しかし、
$\displaystyle{a, b \in H \Rightarrow a^{-1}b \in H}$
というたったの1つの条件から、他の群の条件が本当に出来上がるのでしょうか?
$\displaystyle{H}$$\displaystyle{G}$の部分集合なので、 $\displaystyle{H}$も結合律を満たすことを考えると、
残りの条件として、
  • 演算子に関して閉じている
  • 単位元を持つ
  • 全ての元は逆元を持つ
の3つの条件を導き出せばよいのです。


と、ここまでが前準備・・・

まず単位元の存在を調べましょう。

もとの条件の場合で$\displaystyle{a=b}$としたら、どうなるでしょうか?
そうしたら、
$\displaystyle{a, a \in H \Rightarrow a^{-1}a \in H}$
となります。別に、「aとbは違う数じゃなきゃだめ!!」という制約はないので、
どんな元をaとbに持ってきてもよいわけです。
ところで、自身の逆元を演算したもの、
つまり $\displaystyle{a^{-1}a}$
は単位元になるので、これは結局、以下のようになります。
$\displaystyle{a, a \in H \Rightarrow a^{-1}a \in H \Rightarrow e \in H}$
よって、もとの条件から単位元の存在が確認されました。




次に、逆元の存在を求めましょう。

単位元は含まれていることが分かったので、
$\displaystyle{a}$を任意の元、
$\displaystyle{b}$を単位元$\displaystyle{e}$とすると、
もとの条件は
$\displaystyle{a, e \in H \Rightarrow a^{-1}e \in H \Rightarrow a^{-1} \in H}$となり、
結局逆元も含まれることになります。




最後は、演算子に閉じていることの確認です。
どんな元も逆元をもつことが分かったので、
$\displaystyle{a \in H \Rightarrow a^{-1} \in H}$
となります。これを使って
$\displaystyle{a, b \in H \Rightarrow a^{-1}, b \in H \Rightarrow (a^{-1})^{-1}b \in H \Rightarrow ab \in H}$
となり、演算子に閉じていることも導けました(なぜなら、逆元の逆元は、もとの元に戻ります)。
となり、演算子に閉じていることが分かると思います。



だから、このたった一つの条件から、結局他の条件も導き出されるわけです。

だから、この部分集合が部分群かどうかを調べたかったら、このたった1つの条件を調べればよいのです。

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