さて、いきなりこんな定義を出されても、すぐには理解しにくいとおもいます・・・正直。
だから、今までの「矢印」ベクトルを使って条件を確認していきましょう。
条件1:
可換群(アーベル群)とは、演算子+が以下の条件を満たしていることでした。
- 交換律、つまりa+b=b+a
- 結合律、つまり(a+b)+c=a+(b+c)
- 単位元0の存在、つまりa+0=0+a=a
- 逆元-aの存在、つまりa+(-a)=(-a)+a=0
今まで扱ってきた「矢印」ベクトルでは、
単位元がゼロベクトル
$\displaystyle{\overrightarrow{0}}$
ベクトル
$\displaystyle{v}$の逆元を
$\displaystyle{-v}$として、
以上の4つの条件を満たしていることが分かります。
$\displaystyle{u,v,w}$をベクトルとして、
$\displaystyle{u+v=v+u}$
$\displaystyle{(u+v)+w=u+(v+w)}$
$\displaystyle{u+\overrightarrow{0}=\overrightarrow{0}+u}$
$\displaystyle{u+(-u)=(-u)+u=\overrightarrow{0}}$
となり、確かにベクトルの足し算+に関してアーベル群をなしています。
(群とは、演算子を抽象化したものでした。詳しくは群のページで)
条件2:
スカラーが体の構造を持っていること・・・
ところで、スカラーは普通の「数」でしたよね?
実数は体の構造をもっていることから、それは「矢印」ベクトルではあたりまえのことです。
条件3:
スカラーとベクトルからベクトルへの関数・・・?
そう難しく考えないでください。
ベクトルにスカラーを一つあたえたら、違うベクトルに飛ぶ、と考えてください。
例えば
$\displaystyle{3v}$
というのは「矢印」ベクトルの意味では
「ベクトル
$\displaystyle{v}$の長さを3倍にする」
という意味です。
これは、見方を変えたら
「ベクトル
$\displaystyle{v}$にスカラー3を与えたら違うベクトルに移った」
と考えられないでしょうか?
このようにして、ベクトルとスカラーから、違うベクトルへの対応を考えることができます。
条件4.5は面倒くさいので省略しますが(←コラ!!!)
まぁ、満たしていることが分かると思います。