順序関係の基本的な諸概念
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稠密

$\displaystyle{\mathbb{A}}$を、順序関係$\displaystyle{\leqq}$の定まっている集合とします。

この集合$\displaystyle{\mathbb{A}}$から 二つの元$\displaystyle{a}$$\displaystyle{b}$を選んできたとします。
このとき、どのように二つの元$\displaystyle{a}$$\displaystyle{b}$を選んでも、
もし$\displaystyle{a}$$\displaystyle{b}$が違う元であれば、
必ず順序関係$\displaystyle{\leqq}$に関して$\displaystyle{a}$$\displaystyle{b}$の間の元が存在するとき、
$\displaystyle{\mathbb{A}}$稠密であるといいます。

形式的に書きますと、
$\displaystyle{\mathbb{A}}$が稠密とは、
$\displaystyle{\forall{a,b}\exists{c},a{\neq}b{\Rightarrow}a{\leqq}c{\leqq}b}$
となることです。(当然、c≠a≠bです!!)

定義だけでは分かりにくいと思うので、例を出して説明していきます。


例えば、実数$\displaystyle{\mathbb{R}}$や有理数$\displaystyle{\mathbb{Q}}$は稠密です。
たとえば有理数の中で、どのような相違なるものを選んでも、その間の数は必ず存在します。
例えば2と3は違う数なので、当然その間には2.5という数が存在しますよね?
2.11と2.111も違う数ですが、その2つの数の間には2.1105という数が存在します。
つまり、違う元を取ったら、その間が必ずあるということです。
当然実数にも同じことが言えます。


それに反して、整数$\displaystyle{\mathbb{Z}}$は稠密ではありません。
整数として3と5を選んだら、その間の数として4が挙げられますが、
もし3と4を選んできたとしまったら、その間の数は整数の範囲では存在しないからです。
どのような元をとっても、絶対に間の元が存在することが必要です。

直前・直後

さっきと同じように、
$\displaystyle{\mathbb{A}}$を、順序関係$\displaystyle{\leqq}$の定まっている集合とします。

ここで、またまた先程と同じように、
$\displaystyle{a}$$\displaystyle{b}$を集合$\displaystyle{\mathbb{N}}$の元とします。


$\displaystyle{a{\leqq}b}$であり、かつ
$\displaystyle{a}$$\displaystyle{b}$の間には元が存在しないとき、
$\displaystyle{a}$$\displaystyle{b}$直前と言います。


たとえば、整数$\displaystyle{\mathbb{Z}}$を考えますと、
3の直前は2です。
なぜなら、2≦3であり、2と3の間には整数の範囲では元は存在しないからです。
つまり、直前とは一つ前の元のことなのです。


同じように、
$\displaystyle{b{\leqq}a}$であり、かつ
$\displaystyle{b}$$\displaystyle{a}$の間には元が存在しないとき、
$\displaystyle{a}$$\displaystyle{b}$直後と言います。


整数の中で、3の直後は4ですね。




当然ですが、稠密な順序関係を持つ集合では、
直前や直後は存在しません。
$\displaystyle{a{\leqq}b}$となるようなものはとれても、
$\displaystyle{a}$$\displaystyle{b}$の間には、稠密の定義により、必ず元が存在してしまうからです。

例えば実数$\displaystyle{\mathbb{R}}$の例で考えてみます。
当然1の直前は0ではありません。
だって0と1の間の数は$\displaystyle{\mathbb{R}}$の中で考えると、無数に存在してしまいます。

整列集合

同様に$\displaystyle{\mathbb{A}}$には順序関係$\displaystyle{\leqq}$が定まってて、
どのような$\displaystyle{\mathbb{A}}$の部分集合をとっても、
その部分集合には必ず最小元が存在するとき、
$\displaystyle{\mathbb{A}}$整列集合と呼びます。

例えば、実数$\displaystyle{\mathbb{R}}$は整列集合でしょうか??
たしかに、閉区間 $\displaystyle{[0,1]}$の最小限は0なので、このように部分集合をとれば最小元は存在します。

しかし、開区間$\displaystyle{(0,1)}$をとってしまうと、この集合は0より大きくて1より小さい区間ですので、
0は含まれず、よって最小元も存在しません。
よって実数$\displaystyle{\mathbb{R}}$は整列集合ではありません。

そもそも、整列集合は絶対に稠密ではありません(←簡単に証明できますョ)。




しかし、稠密でなくても、整列集合でないものも存在します。

例えば、整数$\displaystyle{\mathbb{Z}}$は稠密ですが、整列集合ではありません。
例えば、負の数、つまりマイナスの数を全て集めた集合を考えましょうか?
この集合は確かに整数の部分集合ですが、明らかに最小元を持っていません・・・


しかし自然数$\displaystyle{\mathbb{N}}$は整列集合です。
自然数はどんな部分集合の選び方をしても、絶対に最小元が存在する集合になります!!
一回自分で確かめてみればいかがですか!??

そもそも、この「整列集合」の典型的な例が“自然数”と言えるのではないでしょうか!!!
整列集合の直感的なイメージとしては、元が小さいものから1,2,3と順に並んでいるイメージかな・・・(←想像しづらい?)

また、整列集合とは逆に、
どのような部分集合を選んでも必ず最大元が存在するとき、
逆整列集合と言います^^;

有向集合

またまた同じくですが・・・(しつこい!?)
$\displaystyle{\mathbb{A}}$には順序関係$\displaystyle{\leqq}$が定まってて、
どのような$\displaystyle{\mathbb{A}}$有限部分集合をとっても、
その部分集合には必ず上界が存在するとき、
$\displaystyle{\mathbb{A}}$有向集合と呼びます。
今回は「有限」部分集合であるので、
整数$\displaystyle{\mathbb{Z}}$も 実数$\displaystyle{\mathbb{R}}$も 有限な部分集合であれば、上界が存在するので、これらは有向集合です。

有向集合はどんどん上に向かっていく感じの集合なので、
よく数列の添え字として用いられることがあります。

順序同型

今度は二つの集合を挙げます。
集合$\displaystyle{\mathbb{A}}$$\displaystyle{\mathbb{A}'}$にはそれぞれ順序関係$\displaystyle{\leqq}$が定まっているとします。

$\displaystyle{\mathbb{A}}$から$\displaystyle{\mathbb{A}'}$への写像$\displaystyle{\psi}$が定義されていて、
任意の$\displaystyle{\mathbb{A}}$の元$\displaystyle{a}$$\displaystyle{b}$に対し、
$\displaystyle{a{\leqq}b{\Rightarrow}\psi(a)\leqq\psi(b)}$
が成り立つとき、
$\displaystyle{\psi}$準同型写像と言います。

また、$\displaystyle{\psi}$が全単射であり、$\displaystyle{\psi}$もその逆写像$\displaystyle{\psi^{-1}}$も順同型写像であれば、これは同型写像と呼びます。


集合$\displaystyle{\mathbb{A}}$から$\displaystyle{\mathbb{A}'}$への準同型写像が存在する時、
$\displaystyle{\mathbb{A}}$$\displaystyle{\mathbb{A}'}$への準同型であると言います。

また、集合$\displaystyle{\mathbb{A}}$$\displaystyle{\mathbb{A}'}$に同型写像が存在する時、
$\displaystyle{\mathbb{A}}$$\displaystyle{\mathbb{A}'}$同型であると言います。


「同型写像」とは、構造を保つ写像のことです。



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