上限と下限
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上界・下界

前々回は最大元と最小元をやりました。

最大元とは順序関係に関して一番大きな元のことです。

でも、前回は最大元が存在しない例を3つほど紹介しましたよね???
確か限りなく上に元が続いていく時と
[0,1)のように、1より小さな元の場合と
半順序関係の3つの例を紹介したと思います。


今回は、上界というのを紹介します。
集合$\displaystyle{\mathbb{A}}$の上界とは、$\displaystyle{\mathbb{A}}$の全ての元より大きな元のことです。
つまり、$\displaystyle{x}$$\displaystyle{\mathbb{A}}$の上界とは、
$\displaystyle{\forall{a\in\mathbb{A}},a{\leqq}x}$
となることです。



例を出しましょう。
実数$\displaystyle{\mathbb{R}}$$\displaystyle{\leqq}$に関して順序関係を成しています。
集合$\displaystyle{\{1,2,3\}}$は集合$\displaystyle{\mathbb{R}}$の部分集合ですが、
この集合の上界には、3,4,5,6・・・とあります。
つまり、上界とは与えられた集合よりも大きな元のことです。
ほかにも、実数なので3.1とかも上界になります。この場合例を挙げようと思ったらいくらでも挙がりますね。
ただし、もとの集合の最大元も上界になることも忘れずに・・・


最小元も同様に定義できます。
集合$\displaystyle{\{1,2,3\}}$ の下界は、
1,0,-1,・・・といろいろあります。

上限・下限

上界を全て集めた集合の最小元のことを上限といい、
下界を全て集めた集合の最大元のことを下限といい、

例えば、集合$\displaystyle{\{1,2,3\}}$の上界は3,4,5,6・・・と無限にありますが、
この上界の元の中で最小元にあたるのは3です。
よって集合$\displaystyle{\{1,2,3\}}$の上限は3になります。

同様に、この集合の下界は1,0,-1,・・・ですが、この中で最大限は1です。
よって、集合$\displaystyle{\{1,2,3\}}$の下限は1です



上限と下限の記号はそれぞれ$\displaystyle{\sup}$$\displaystyle{\inf}$で表され、
この場合
$\displaystyle{\sup\{1,2,3\}=3}$
$\displaystyle{\inf\{1,2,3\}=1}$
となります。

上限・下限のウレシイトコロ

なんだか、以上の定義を見てみると、
最大元と上限は少し似ていますよね??
(同様に、最小元と下限は似ていますよね??)

集合$\displaystyle{\mathbb{A}}$の上限とは、$\displaystyle{\mathbb{A}}$の上界の最小元のことです。
集合$\displaystyle{\mathbb{A}}$の下限とは、$\displaystyle{\mathbb{A}}$の下界の最大元のことです。

上限・下限…定義だけみると、すこしヤヤコシイです。
よくみると、上限と下限の定義は、どことなく最大元・最小元の定義に似ているような・・・?
しかし、上限・下限を定義すると、少しヨロシイことが起こります!!!


例えば、前回紹介した、最大元が存在しない例を見てみましょう。
$\displaystyle{[0,1)=\{n|0{\leqq}n{<}1\}}$
この集合の最大元は1???
いや、1はこの集合に含まれていないのだから・・・
というのが前回でしたf(^_^;
それでは、この集合の上界はというと、
1以上の数が全て上界となります。
そのなかでの最小元は、1です。

つまり、1はこの集合の上界でもあり、
上界の中でも一番小さい、つまり最小元であるので、
この集合の上限は1となります。

つまり、
$\displaystyle{\sup[0,1)=1}$
です。
このように、最大元が存在しなくとも上限が存在するものがあります。

今度は半順序関係の例で

前回は、2次元のベクトルの大小関係を
$\displaystyle{\begin{pmatrix}a_1\\a_2\end{pmatrix}{\leqq}\begin{pmatrix}b_1\\b_2\end{pmatrix}{\Leftrightarrow}a_1{\leqq}b_1かつa_2{\leqq}b_2}$
のように定義したことがありましたが、
このように大小関係を定義してしまうと、
$\displaystyle{\max\{\begin{pmatrix}2\\4\end{pmatrix},\begin{pmatrix}3\\1\end{pmatrix}\}}$
は、どちらが大きいのが決められないため、
最大元は決められないのでした。

しかし、この2つのベクトルより大きな元、つまり
$\displaystyle{\{\begin{pmatrix}2\\4\end{pmatrix},\begin{pmatrix}3\\1\end{pmatrix}\}}$
の上界は $\displaystyle{\begin{pmatrix}3\\4\end{pmatrix}}$より大きな元です。
この元より大きければ、2つの元よりも小さくなることはまずありません。
この上界の中で一番小さな元、つまり最小元は $\displaystyle{\begin{pmatrix}3\\4\end{pmatrix}}$ なので、これが上界となります。
つまり、
$\displaystyle{\sup\{\begin{pmatrix}2\\4\end{pmatrix},\begin{pmatrix}3\\1\end{pmatrix}\}=\begin{pmatrix}3\\4\end{pmatrix}}$
となります。

このように、半順序集合の時においても、最大元は存在しないが上限は存在することもあります。


有界

他にも、最大元が存在しない例がありました。

例えば、自然数$\displaystyle{\mathbb{N}}$は、上にどんどん大きくなっていくため、最大元は存在しませんでした。

それでは、この場合も上限は存在するでしょうか?
どんな自然数よりも大きな数???よ〜く考えれば、そんなのは存在しません。
だから、これには上界が存在しないため、もちろん上限も存在しません。


ということで、最大元がなくても上限は存在することもありましたが、
それでも、上限は絶対にあるとは限りません。

前回もちらっと言いましたが、
上界が存在するとき上に有界と言います。
同様に下界が存在するとき、下に有界と言います。

極大元と極小元

極大元とは、それよりも大きな元が存在しないような元のことです。
同様に、
極小元とは、それよりも小さな元が存在しないような元のことです。

つまり、
$\displaystyle{\mathbb{A}=\{1,2,3\}}$
とすると、この集合の極大元は3です。
だって3より大きな元は存在しませんよね?
同様に、この集合の極小元は1です。
この集合の中で、1よりも小さな元は存在しません。


しかし、
「あれ!?なんだか最大元と極大元と定義がかぶってない?」


最初は、そう思うだろうと思います。
それでは、二つの定義を比べてみましょう!!!

最大元 全ての元よりも大きい元のこと。
つまりmを最大限とすると、
∀a,a≦m
極大元 この元よりも大きなものが存在しないような元のこと。
つまりmを極大元とすると、
mより大きな元は存在しない

はい!!!違いが分かって頂けたでしょうか(笑)
これだけじゃまだ分からないと思うので・・・


最大元と極大元の違いは半順序関係で出てきます。


$\displaystyle{\{\begin{pmatrix}2\\4\end{pmatrix},\begin{pmatrix}3\\1\end{pmatrix}\}}$
先ほど定義した順序関係で大小関係を定義しますと、
これには大小関係が定義されいないため、どちらが大きいとは言えません。
よって、これも自身より大きな元が存在しない、ということになり、
二つとも極大元です。
また、同様にして、
二つとも極小元です。

しかし、
$\displaystyle{\{\begin{pmatrix}2\\4\end{pmatrix},\begin{pmatrix}3\\1\end{pmatrix},\begin{pmatrix}3\\4\end{pmatrix}\}}$
の極大元は、$\displaystyle{\begin{pmatrix}3\\4\end{pmatrix}}$になります。
また、これの極小元は
$\displaystyle{\{\begin{pmatrix}2\\4\end{pmatrix},\begin{pmatrix}3\\1\end{pmatrix}\}}$
です。

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