定義とは

定義とは

前回は「定理」とか「命題」とかやりましたよね?
今回は「定義」という言葉の意味です。



定義とは、言葉の意味を決めることです!!
  • 2で割りきることのできる自然数を偶数という
これは定義になります。
つまり「偶数」という言葉の意味を規定しているのです!
言葉の意味を宣言するのです!!これが定義です。


  • 二項演算子“+”が(a+b)+c=a+(b+c)を満たすとき“+”は結合律を満たすという
  • AがBの部分集合であるとは任意の元aに対してa∈Aならばa∈Bとなることである
  • n<mとはn−mが正の数となることである
以上が定義の例です。
例えば最後の例を使いますと
「n<mだったらなんでn−mが正の数になるんだろう?」
って考えてはいけません!!
「n<m」という言葉の意味は「n−mが正の数であること!!」と言葉付けしているのです。

定義というのは言葉付けのことです!!

定義は大切!!

もう「定義」と「定理」とは、全くの別物であることは分かりましたね?
「定理」とは、命題の一種です。
一方「定義」とは「言葉決め」のことであり「命題」では決してございません。。。



さてさて、タイトルにもある通り
定義は数学においてとても重要なものなのです。
もし定義を知らなければ、定理の証明なんて絶対にできません。
「定理」とは定義から導かれる事実のことなので、
定理の証明には当然、定義を使います。
定義が与えられなければ、証明のしようがありませんものね。



例えば、以下の問題が出たらどうしますか???
  • 1+1=2を証明しなさい!!

余談ですが、私は小学生の家庭教師をやったことがあります。
小学生の間では「1+1=2は当たり前」というような合言葉があるようなのですね(*^_^*)/

さて、余談はここまでにして・・・
一見、このような、世間一般で当たり前と言われているような式を、
一体どうやって証明するんでしょうか?
「1+1=2ってそんなの当たり前じゃん??」
「当たり前なら証明して下さい(笑)」
う〜〜ぅむ(‾ω‾;)


まず、この式を証明するために必要な定義は、
「1の定義」「2の定義」「足し算“+”の定義」です。
ほら、こんな簡単な式を証明するのにもちゃんと“定義”が重要ですよね?
これに関する詳しいことは次回「Peanoの公理」で述べますm(_ _)m

気をつけるべきこと

定義をするときに、気をつけなければならないことがあります。
それは、定義は厳密に述べなければならない、ということです。
例えば、
「飛ぶことができる物のことを『鳥』という」
と定義したとしましょう。


そうしたらなんと「飛行機」も“鳥”になってしまいます!!!!
なぜなら「飛ぶ物はなんでも『鳥』」だと定義してしまったわけです。



だから↓↓こう修正すればいい訳ですね(もしあなたが本当に「飛行機」みたいなものでも“鳥”と呼びたいならば、上の定義でもかまいませんが・・・)

「飛ぶことができる生き物のことを『鳥』という」

しかし、そうしたらペンギンは鳥ではなくなってしまいます。
現代の生物学では「ペンギンは鳥類に属する」となっているのにね・・・
あとカブトムシ・トンボなどの昆虫も鳥になってしまいます。
また「○○えもん」の世界になりますが「タケ○○ター」を使えば空を飛べるので、人間も鳥になってしまいます。


だから、定義をまた修正するしかないです(もし昆虫や「○ケコプ○ー」を使った人間も鳥と言いたいなら、上の定義でもかまわないですが・・・)。
鳥の定義は鳥学者にお任せします(笑)

・・・というように、定義ってとても厳密にしなきゃいけないのです。

気をつけるべきこと2

「実数とは無理数と有理数を合わせたもののことである」

これは実数の定義ですね。一方、

「無理数とは有理数ではない実数のことをいう」


もし、この2つを同時に実数、無理数の定義だとしたら、これはおかしいです。



“実数”を定義するのに“無理数”という言葉が出てきてしまいました。
しかし“無理数”を定義するのに“実数”という言葉が出てきてしまいます。

「Aを定義するためにBの定義が必要だが、Bの定義にAの定義が使われている・・・?」
こういう現象のことを循環定義といいます。

「実数」or「無理数」どちらかの定義がはっきりしなけりゃ、定義のたらいまわしになり、結局なに言ってるか分からないのです。


A:「低くない山を高い山と言います。」
B:「じゃぁ、低い山って何?」
A:「低い山とは、高くない山のことを言います。」

これも循環定義ですね。
Aさんは「高い山」が何なのかを知らないわけです。
「高い山」を知るために「低い山」の定義を使うわけ。
しかし「低い山」を知るためには「高い山」の定義が必要。
だが、元々「高い山」を知らないのに、再びここで「高い山」の定義ができてしまう。
そんなのなんか、分かりっこないでしょ?



また
1.「右とは、左の反対である。」
2.「左とは、右の反対である。」
これも循環定義の一例ですよね?
1番目の定義より右を知るために左を知らなければならない。
一方左の定義は2番目にあるが、そこには右を知らなければならない。
よって、1番目の定義に戻る。
このように、1番目の定義と2番目の定義をぐ〜るぐ〜るとたらい回しにしているわけです・・・




数学を志す人は、こんな定義をしないように気をつけましょう(笑)

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