導入

素朴集合論

お久しぶりですm(_ _)m
皆様は集合論のページで解説した内容をご存じでしょうか?


確かその時は「集合とは、まぁ単純に言えば、何かを集めたものです。」と言ったような・・・?
このページで解説したような「ただ物を集めたようなもの」を扱う集合論を素朴集合論といいます。

素朴集合論の破綻

しかし、本当に集合を「ただの集まり」と考えてもいいのでしょうか!!?


実は純粋に素朴集合論の理論を行うといろいろなパラドックスが発生してしまうのです!!!
要するに、変なことが起きてしまいます。
例えば:
$\displaystyle{\{x \; | \; x \notin x\}}$

つまり“自分自身を含まない集合”を全て集めた集合$\displaystyle{R}$を考えます。
・・・はっきりいって、ややこしいですね(-ω-`)
$\displaystyle{a \notin a}$ となるような元を全て集めたもの・・・この集合を$\displaystyle{R}$とするのです。
だから$\displaystyle{x \in R}$だとしたら$\displaystyle{x \notin x}$となるのです。

ここまではよろしいですか??
さて、次の場合を考えてみましょう。
もし仮に$\displaystyle{x \notin R}$だとしたら$\displaystyle{x \in x}$になります。
なぜならば$\displaystyle{x \notin R}$なのに$\displaystyle{x \notin x}$だとしたら、
「Rは$\displaystyle{a \notin a}$となるような集合を全てを集めたはずなのに、なんで$\displaystyle{x}$はRの中に入ってないの?」てなことになるからです。

「こりゃまた面倒くさい集合を考えるなぁ〜〜〜」ってのは後回しにして(笑)
さて$\displaystyle{R}$自身は$\displaystyle{R}$に含まれているでしょうか?


つまり
$\displaystyle{R \in R}$ or $\displaystyle{R \notin R}$
のどちらかが必ず成り立ってていると考えます。正しいのはどっちでしょうか?




それでは、もし仮に$\displaystyle{R \in R}$が真だと仮定すると
$\displaystyle{R = \{x \; | \; x \notin x\}}$より
$\displaystyle{R \in \{x \; | \; x \notin x\}}$
となります(上の式はR∈Rの右にRの定義式を代入しただけ)。
つまり$\displaystyle{R}$は何だったかといいますと「“自分自身を含まない集合”を全て集めた集合」だったはずです。
そう考えると$\displaystyle{R}$は自分自身を含んでいることを仮定しているため「“自分自身を含まない集合”を全て集めた集合」の元ではありません。
$\displaystyle{ x \in R \Rightarrow x \notin x}$となるため、
$\displaystyle{R \in R \Rightarrow R \notin R}$です。
矛盾ですね?



だったら$\displaystyle{R \notin R}$でしょうか?
ここで$\displaystyle{R}$とは「“自分自身を含まない集合”を全て集めた集合」なので
$\displaystyle{x \notin R \Rightarrow x \in x}$です。
よって$\displaystyle{R \notin R \Rightarrow R \in R}$となるので、
結局$\displaystyle{R \notin R}$を仮定しても$\displaystyle{R \in R}$ということになり、
あれ?矛盾。。。

集合論のパラドックス

以上のパラドックスはお分かり頂けたでしょうか?
これはラッセルのパラドックスという集合論の有名なパラドックスの一つです。
$\displaystyle{R \in R}$であっても$\displaystyle{R \notin R}$であっても、
結局矛盾となってしまいます。

正直言いますと、慣れない人にはラッセルのパラドックスは少し分かりづらいかもしれませんが、
素朴集合論の欠点を見事に指している、いい例だと思います。
素朴集合論に関するパラドックスは他にもいろいろありますが、ここでは省略しますm(_ _)m

パラドックスの回避のために

さて、私たち数学家が何気なく使っている集合論に、矛盾が生じてしまいました・・・。


この難題をどう回避すればいいのでしょうか?
やはり、一番考えられる中で最も楽な解決法は、
こんなパラドックスなんか無視しちゃうことです!!!
つまり、こんなパラドックスなんて、見なかったことにしちゃうわけですo(^-^)o〜♪

「あ〜ぁ、面倒なものに気づいてしまったけど、見なかったことにしとこ」ってな感じで☆




しかし、そんなことは数学の世界では決して許されないことなのです(このことに関しては、後に詳しく述べます)。
数学では矛盾した理論体系を扱うことは、かなりマズいのです。




よって、我々が何気なく使っていた「集合論」を、少し見直す必要があるようです。
そこであたらしく導入されたのが公理的集合論というものです。

ところで、公理って何?

公理的集合論!!!
さて“公理”という言葉が出てきました。

“公理”という言葉は聞いたことがある人はいると思いますが、
実際は「公理って何?」って人or公理をうまく分かっていない人が多いのではないでしょうか?



「公理とは、証明ができないほど、自明な命題のことである」
時々、そんな誤解を見受けられます。
そもそも“自明な命題”とは、簡単に証明できる命題のことですから・・・


公理とは「仮定」です!!!
・・・て言っても理解できませんよね?
詳しい説明は後回にします。。。

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