距離の例

今回も例を出します

前回は、距離というものの抽象化しました。
しかしただ距離と言っても、どのようなものに距離が定義できるのかを紹介していきたいと思います。

通常の距離

$\displaystyle{x,y\in\mathbb{R}^n}$として、
$\displaystyle{x=(x_1,x_2,\cdots,x_n)}$
$\displaystyle{y=(y_1,y_2,\cdots,y_n)}$
とすると、 $\displaystyle{d(x,y)=\sqrt{(x_1-y_1)^2+(x_2-y_2)^2+\cdots+(x_n-y_n)^2}}$ は当然距離となります。
これで定義された距離のことを通常の距離、あるいはユークリッド距離といいます。
当然、ユークリッド距離は、距離の公理を満たしています(→証明)

その他の距離の例

次の例を紹介します。
前回も紹介しましたが、
$\displaystyle{d(x,y)=\max\{|x_1-y_1|,|x_2-y_2|,\cdots,|x_n-y_n|\}}$

$\displaystyle{d(x,y)=|x_1-y_1| + |x_2-y_2| + \cdots + |x_n-y_n|}$
も距離となります。当然、それらは距離の公理をみたしています。

自明な距離

実数ばかりではなくて、そろそろ一般の集合における距離でも紹介しましょうか??

$\displaystyle{\mathbb{X}}$を空でない集合として、
$\displaystyle{d(a,b)}$を、
$\displaystyle{a=b}$のとき$\displaystyle{d(a,b)=0}$
$\displaystyle{a{\neq}b}$のとき$\displaystyle{d(a,b)=1}$
とします。
つまり、違う元との距離は絶対に1とします。
これも距離の公理を満たすので、距離となります。

関数空間上での距離1

次に、ついに関数間での距離を定義します。
実数上で定義された、有界な実数値関数全体からなる集合を$\displaystyle{\mathscr{C}}$とします。
このとき、$\displaystyle{f,g\in\mathscr{C}}$として
$\displaystyle{d(f,g)=\sup_{t\in\mathbb{R}} |f(t)-g(t)|}$
で定義された$\displaystyle{d}$は距離となります。 当然、距離の公理を満たしています(→証明)

関数空間上での距離2

今度は閉区間$\displaystyle{[0,1]}$上で定義された、積分可能な実数値関数全体の集合を$\displaystyle{\mathscr{C}[0,1]}$とします。
このとき、$\displaystyle{f,g\in\mathscr{C}[0,1]として}$
$\displaystyle{d(f,g)=\int_0^1|f(x)-g(x)|dx}$ も距離の公理を満たしているので、距離になります(→証明)

戻る