位相の例
今回も例を出します
前回は、位相というものは何か、というものを紹介しました。
今回は、位相の中でも特別なものを紹介します。
通常の位相
前々回まで扱ってきた、抽象化していない開集合(内点をつかって定義していた)を思い出してください。
ほら、この「位相」のページの最初あたりで、出てきたものです。
この開集合を全て集めた集合を$\displaystyle{\mathscr{O}}$とすると、
$\displaystyle{\mathscr{O}}$は$\displaystyle{\mathbb{R}}$の位相になっています(開集合の公理を満たしています)。
これを通常位相、或いはユークリッド位相と言います。
離散位相
$\displaystyle{\mathbb{X}}$をある集合とします。
さてさて、
$\displaystyle{\mathbb{X}}$の部分集合全てを含む集合を
冪集合といい、
$\displaystyle{\mathfrak{P}(\mathbb{X})}$と表すのでした。
ところで
$\displaystyle{\mathfrak{P}(\mathbb{X})}$は
$\displaystyle{\mathbb{X}}$の位相になっています。
なぜなら
$\displaystyle{\mathfrak{P}(\mathbb{X})}$は
$\displaystyle{\mathbb{X}}$の部分集合ならば、どんなものでも含んでいます。
どんな
$\displaystyle{\mathbb{X}}$の部分集合も開集合です!!!
このように
$\displaystyle{\mathfrak{P}(\mathbb{X})}$を
$\displaystyle{\mathbb{X}}$の
離散位相と言います。
・・・俗に言う、最強の位相です(笑)。
密着位相
$\displaystyle{\mathbb{X}}$をある集合とします。
そして、
$\displaystyle{\mathscr{T}=\{\psi,\mathbb{X}\}}$
と$\displaystyle{\mathscr{T}}$を2つの元しかもたない族とします。(集合からなる集合のことを“族”と呼んだりすることもある)
実は、この$\displaystyle{\mathscr{T}}$も$\displaystyle{\mathbb{X}}$の位相になります。
ただ、この場合$\displaystyle{\mathbb{X}}$の開集合はすっごく少なくなりますが・・・
自分自身と空集合しか開集合とは認められないのです。
・・・俗に言う、最弱の位相です。