開集合か閉集合

開集合と閉集合どっちかなぁ!?

前回までは、区間とか「開集合」と「閉集合」を解説しました。
開集合も閉集合も、どちらとも結局は実数$\displaystyle{\mathbb{R}}$の部分集合なわけです。

しかし、実数$\displaystyle{\mathbb{R}}$の部分集合の中には、
「これって開集合か閉集合どっち!?」というものも存在すると思います。
以下では、これらについて解説していきます(笑)

片側だけ開の時

例えば、
$\displaystyle{(0,1]}$$\displaystyle{[2,5)}$の時みたいに、
「0以上で1より小さな実数の集合」や「2以上で5より小さな実数の集合」の場合は、
果たして開集合か閉集合、どちらでしょうか!?

この例のように、片方だけが端を含んでいて、もう片方は端を含まないような、
開集合と閉集合が入れ混じったような中途半端なものは、
開集合でも閉集合でもどちらでもありません。

つまり、実数$\displaystyle{\mathbb{R}}$の部分集合であれば、
絶対に開集合か閉集合のどちらかだよ!!となるとは限らないということですね。

無限を含んだ場合

例えば、
$\displaystyle{(3,\infty)}$や、$\displaystyle{(-\infty,1)}$のような、
片側が∞であるようなものは果たして開集合か閉集合、どちらになるのでしょうか?
当然、この場合でしたら開集合になります。

この場合は両側とも$\displaystyle{()}$で囲まれているので、開集合だな〜と直感的に分かりそうですが、
それでは次の場合はどうなるでしょうか?

$\displaystyle{[1,\infty)}$
これは、閉集合です。

この場合、片方が$\displaystyle{[}$で、もう片方が$\displaystyle{)}$という、
一見開集合と閉集合が入れ混じったような形をしていますが、
普通は、∞側の括弧は無視して考えますので、
この場合は片方だけを考えればよいのです。
これは左端の数「1」を含んでいるので、よって閉集合になります。


でも、そうしたら
$\displaystyle{(-\infty,\infty)}$はどうなるの!?と思うかもしれないですよね・・・?
両方とも∞ですが、こういう場合は
開集合でもあるし閉集合でもある・・・つまり両方だよ!!!
と考えます。

つまり、開集合でもあるし閉集合でもあるよ〜ということです。


開集合でも閉集合でもあるようなものを開かつ閉と呼んだりします。

空集合φや一つの元だけを含んだ集合{1}の場合

それでは、何も元を含んでない集合(いわゆる空集合ってやつ)はどうなるのでしょうか・・・?


空集合φも、開集合でもあるし閉集合でもある、いわゆる「開かつ閉」と考えられます。
なぜなら、
$\displaystyle{(1,0)}$
とか
$\displaystyle{[1,0]}$
と表すことができるからです。

ところで、
$\displaystyle{(1,0)}$は、$\displaystyle{\{x|1{\lt}x{\lt}0\}}$つまり、1より大きくて0より小さな実数を集めた集合を表していますが、
当然そんな数は存在しません。

もちろん$\displaystyle{[1,0]}$の場合も同様で、
1以上で0以下の数は存在しません。

つまり、空集合は開集合でも閉集合でも表すことができるのです。



それでは、 $\displaystyle{\{1\}}$みたいな、
1つの数だけを含んだ集合は、どうなるのでしょうか??

これは、開集合ではなく、閉集合と考えます。
なぜなら、
$\displaystyle{[1,1]}$と考えられるからです。

$\displaystyle{[1,1]}$は、1以上で1以下の数を表しているので、
そのような数は当然1だけです。

このような1つの数だけを含んだ集合は開集合では表すことができません。
例えば、$\displaystyle{(1,1)}$は、
1より大きくて1より小さい実数を表しているので、
当然そのような数は存在せず、
開集合で表すことができないのです。

意外にも開集合・閉集合になる例

開区間と開集合は違います!!!
閉区間と閉集合は違います!!!

それが分かる例を以下に持ってきました!!



また、
$\displaystyle{(0,1)\cup(2,3)}$
つまり、「0より大きくて1より小さい実数と、2より大きくて3より小さい実数を合わせた集合」
これは、開集合です(これも、閉集合じゃありません)。
これは前回やったことですね?
開集合の和集合も開集合になります。

しかし、上の例は“開集合”であっても“開区間”ではありません!!!
開区間とは
$\displaystyle{(a,b)=\{x|a{\lt}x{\lt}b\}}$
の形で表すことができるものなのです。
(aとbが∞になる可能性もアリ・・・)


あと、有理数の集合$\displaystyle{\mathbb{Q}}$は、
確かに実数の部分集合ですが、
これは開集合か閉集合、どちらでしょうか??

もちろん、これは開集合でも閉集合でもありません。。。

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