開集合の定義

内点

前回までは、開集合の定義が少々曖昧な部分がありましたが、
今回は、開集合の定義をします。
・・・と、その前に、「内点」と「外点」というものは何か?といものを紹介します。




それでは、内点の定義に行きます。
$\displaystyle{\mathbb{A}}$を、実数$\displaystyle{\mathbb{R}}$の部分集合、つまり$\displaystyle{\mathbb{A}\subset\mathbb{R}}$として、
また、$\displaystyle{p}$$\displaystyle{\mathbb{A}}$の元、つまり$\displaystyle{p\in\mathbb{A}}$とします。
このとき、元$\displaystyle{p}$を含んでいて、さらに$\displaystyle{\mathbb{A}}$の部分集合となるような開区間$\displaystyle{S_p}$をうまく選ぶことができるとき、
つまり、
$\displaystyle{p{\in}S_p\subset\mathbb{A}}$
となるような開区間$\displaystyle{S_p}$が一つでも存在したら、
$\displaystyle{p}$$\displaystyle{\mathbb{A}}$内点と言います。

内点の例

まだ慣れていない人には、上の定義では何だかまぎらわしく感じてしまうかもしれませんね・・・。
定義だけじゃ分かりにくいと思いますので、いくつか例を挙げます。

閉区間$\displaystyle{[1,3]=\{x|1{\leqq}x{\leqq}3\}}$があるとします。
例えば、2は閉区間$\displaystyle{[1,3]}$の内点です。
なぜなら、開区間$\displaystyle{(1,3)}$を考えれば、
$\displaystyle{2\in(1,3)\subset[1,3]}$のようにとれるからです。

2を含む開区間をこのようにとれば、これを閉区間[1,3]の中に収めることができる




それでは、端の数である1や3はどうでしょうか?
1や3は、定義によれば内点にはならないようです。
例えば、1を含む開区間を考えますと、
$\displaystyle{(0,2)}$
$\displaystyle{(0.5,1.5)}$
$\displaystyle{(0,75,1.25)}$
など、まだまだ他にもいろいろ選ぶことができますが、
1を含む開区間をどのように選んでも、$\displaystyle{[1,3]}$の部分集合にはならないようです。
例えば$\displaystyle{(0.75,1.25)}$は0.75より大きくて1.25より小さな実数の区間なのですが、
0.75(正確には0.75より大きくて1より小さな数・・・)は$\displaystyle{[1,3]}$ からはみ出ているので、部分集合になりません。

このように、1より含む開区間はどうしても1より小さい領域も含んでしまうため、
1は$\displaystyle{[1,3]}$の内点ではありません。
また、3についても同様です。


1を含む開区間の幅εをどんなに小さくしても、閉区間[1,3]からはみでてしまう・・・

内点の他の例

違う例を出しますと、開区間 $\displaystyle{(1,3)}$に含まれる全ての元は、
$\displaystyle{(1,3)}$の内点であることは、容易に理解できると思います。
なぜなら、この開区間の元に含まれているものが、もう最初から開区間に含まれているのですから。



また、一元集合
例えば$\displaystyle{\{0\}}$みたいなものを考えます。
この一元集合の内点は存在しません。
0は{0}の内点ではありません。
なぜなら、0を含む開区間は、0よりも小さい数や大きい数をどうしても含んでしまう(広がりを持ってしまう)ため、
{0}の部分集合にはなれないのです。



同様に、自然数全ての集合$\displaystyle{\mathbb{N}}$にも、内点は存在しません。
しかし、実数全ての集合$\displaystyle{\mathbb{R}}$は、内点が存在します。
また、全ての数は実数の内点である、ということが分かると思います。

開集合とは?

内点とは、どんなものか分かりましたか???
初めての人には、少し分かりにくいかもしれませんが・・・
でも、もし内点というものを理解することができましたら、自信を持っても大丈夫です!!!


さて、長らくおまたせしました(><)
開集合の定義を述べます。

$\displaystyle{\mathbb{A}}$を実数$\displaystyle{\mathbb{R}}$の部分集合として、
$\displaystyle{\mathbb{A}}$に含まれる全ての元が$\displaystyle{\mathbb{A}}$の内点のとき、 $\displaystyle{\mathbb{A}}$開集合と言います。
また、開集合の補集合は閉集合と呼ばれます。


例えば、開区間$\displaystyle{S_p}$の元は絶対にその開区間$\displaystyle{S_p}$自身の内点になりますので、
開区間は開集合になります。
実数全体の集合$\displaystyle{\mathbb{R}}$の場合も、先ほど述べた通りに実数全ての数は実数の内点になりますので$\displaystyle{\mathbb{R}}$は開集合です。

また、少し分かりにくいかもしれませんが、空集合$\displaystyle{\phi}$も開集合になります。
空集合は内点ではない元すらも含んでいない、と考えると開集合とみなせますが・・・まぁ分からなければ無理矢理解釈でお願いします。

また、開集合の任意個の和集合も開集合になり、(→証明)
2つの開集合の共通部分も開集合になります。(→証明)

だから、
$\displaystyle{(1,3)}$$\displaystyle{(2,4)}$の和集合である$\displaystyle{(1,4)}$も、開集合ですし、
$\displaystyle{(1,3)}$$\displaystyle{(2,4)}$の共通部分である$\displaystyle{(2,3)}$も、開集合です。


また、
$\displaystyle{\mathbb{R}-\{0\}}$
のような、実数を全て集めた集合から、ただ1つの数字「0」だけを除いた集合も開集合になりますが、
$\displaystyle{(-\infty,0)}$$\displaystyle{(0,\infty)}$の2つの開集合の和集合として考えたら分かりやすいと思います。

閉集合とは?

今度は、閉集合について考えていきましょう。


$\displaystyle{[0,1]}$
これは、0以上1以下の数を全て集めた、閉区間です。
ところで、この閉区間の補集合は、
$\displaystyle{(-\infty,0)\cap(1,\infty)}$と考えられますよね?
ところで $\displaystyle{(-\infty,0)}$$\displaystyle{(1,\infty)}$は両方とも開集合です。
2つの開集合の和集合は、開集合になることは、先ほどお話しました。
よってこの閉区間の補集合は開集合になります。


他の例でも試して見れば分かると思いますが、閉区間の補集合は必ず開集合になります!!!!


それを逆手にとり、今度は閉集合を定義することができます。

定義:閉集合は開集合の補集合である


これによれば、開集合と閉集合は互いの補集合である、という関係になります。

開集合の補集合は必ず閉集合になり、
閉集合の補集合は必ず開集合になります。
つまり、開集合と閉集合は表裏一体、いわば裏表の関係のようなものです。

だから、前回例に挙げた
1000以下の正の偶数の整数を全て集めた集合
$\displaystyle{\{2,4,6,\cdots,1000\}}$
の補集合は、
$\displaystyle{(-\infty,2)\cup(2,4)\cup(4,6)\cup\cdots\cup(998,1000)\cup(1000,\infty)}$
という開集合になるので、
これも閉集合も考えられるのです。

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