ここで、部分群の定義をしっかりと定式化したいと思います。
群
$\displaystyle{\mathbb{G}}$の部分集合
$\displaystyle{\mathbb{H}}$が
$\displaystyle{\mathbb{G}}$の部分群であるとは、
- $\displaystyle{a,b\in\mathbb{H}{\Rightarrow}\in\mathbb{H}}$
- $\displaystyle{(ab)c=a(bc)}$
- 単位元が存在
- 全ての元に対し逆元が存在
1番目の条件では、aとbがHに含まれていたら、abもHに含まれる、
つまり演算子に閉じていることを言ってます。
2番目の条件では、結合律が成り立つことを言っています。
・・・ところで、この条件は、もっと簡単にできます。
なぜなら、
$\displaystyle{\mathbb{H}}$は
$\displaystyle{\mathbb{G}}$の部分集合であり、
しかも
$\displaystyle{\mathbb{G}}$は群ですので結合律を満たしています。
だからその部分集合である
$\displaystyle{\mathbb{H}}$も当然結合律が満たされているはずです。
よって、部分群の条件の一つである「結合律」は、自明なことを言っているのであり、必要なくなります。
また、
「全ての元は逆元を持つ」という条件より、
ある元
$\displaystyle{a}$と
その逆元
$\displaystyle{a^{-1}}$は両方とも
$\displaystyle{\mathbb{H}}$に含まれており、
また「演算子に閉じている」という条件より、
$\displaystyle{aa^{-1}}$の結果もまた
$\displaystyle{\mathbb{H}}$に含まれます。
当然、この結果は単位元となります。
つまり、「演算子に閉じている」と「全ての元は逆元を持つ」という二つの条件から自然に「単位元を持つ」という条件も導かれるのです。
だから、「単位元を持つ」という条件も必要なくなります。
以上のことより、部分群の定義は、より簡単なものにできます。
- $\displaystyle{a,b\in\mathbb{H}{\Rightarrow}ab\mathbb{H}}$
- 全ての元に対し逆元が存在