さて、以上のことをまとめます。
ベクトル
$\displaystyle{v_1,v_2,\cdots,v_n}$が一次独立でないなら、
その内の1つのベクトル
$\displaystyle{v_i}$は(ただし、1≦i≦n)、
残りのベクトルの一次結合で表すことができる。
そういうことです。
前々回の議論に戻りましょう。
- 一つのベクトルの線形結合の全体は直線を表し・・・
- 二つのベクトルの線形結合の全体は平面を表し・・・
- 三つのベクトルの線形結合の全体は3次元空間を表し・・・
- 四つのベクトルの線形結合の全体は4次元超空間を表し・・・
↑これには例外がある・・・というのが
前々回のお話でした。
これによると、
ベクトルというのは、空間を作る、いわば“材料”みたいなものです。
“ベクトル”という“材料”をn個集めて「一次結合」という方法を使うことにより、
「直線」「平面」「3次元空間」・・・
などが作れるのでした。
これは、前々回に話したことです。
そう考えますと、「一次独立でないベクトルの組」というのは、
余分な材料が含まれているベクトルの組となります。
なぜなら「一次独立でないベクトルの組」というのは、
その中の少なくとも1つのベクトルは、他のベクトルの一次結合で表すことができる、ということを先ほど述べました。
つまり、他のベクトルを使って代用できるようなベクトルが余分に含まれているのです。
そう考えると・・・確かに余分ですよね?
「一次独立なベクトルの組」というのは、余分な材料を含まない、
空間を作るための、必要最低限なベクトルの組だということを表しています。
まとめますと、以下の主張が正しくなります。
- 一つのベクトルの線形結合の全体は直線を表し・・・
- 二つの一次独立なベクトルの線形結合の全体は平面を表し・・・
- 三つの一次独立なベクトルの線形結合の全体は3次元空間を表し・・・
- 四つの一次独立なベクトルの線形結合の全体は4次元超空間を表し・・・
言い忘れていましたが、
これからは「一次元空間」や「二次元空間」というように、
単なる“直線”や“平面”のことも“空間”と呼ぶことにします。