例1の外部
次に、$\displaystyle{\{b,c\}}$の外部を求めます。
$\displaystyle{\{b,c\}}$の外部というのは、$\displaystyle{\{b,c\}}$の補集合の内部でした。
つまり$\displaystyle{\{a\}}$の内部を求めればいいのです。
集合$\displaystyle{\{a\}}$の元である$\displaystyle{a}$を調べればよいのですが、
$\displaystyle{\{a\}}$は、それ自身開集合でもあるので、
$\displaystyle{a}$は$\displaystyle{\{a\}}$の内点です。
よって$\displaystyle{\{b,c\}}$の外点は$\displaystyle{a}$だけです。
例2
さて、次の例を見てみましょう。
$\displaystyle{\{a,b,c,d,e\}}$
$\displaystyle{\mathscr{T}=\{ \{\}, \{b\}, \{b,c,d\}, \{b,c,d,e\}, \{c,d\}, \{c,d,e\}, \{a,b,c,d,e\} \}}$
というように、$\displaystyle{\mathscr{T}}$を開集合とした、位相空間$\displaystyle{X}$を考えます。
さて、$\displaystyle{\{a,c,d\}}$の内部・外部・境界を求めましょうっ!
$\displaystyle{a}$を含む開集合は全体、$\displaystyle{\{a,b,c,d,e\}}$しか存在しません。
よって
$\displaystyle{a{\in}U_a{\subset}\{a,c,d\}}$となるような開集合$\displaystyle{U_a}$は存在しないので、
$\displaystyle{a}$は$\displaystyle{\{a,c,d\}}$の内点ではありません。
しかし$\displaystyle{\{c,d\}}$という開集合は存在するため、
$\displaystyle{c,d}$はそれぞれ$\displaystyle{\{a,c,d\}}$の内点になります。
次に$\displaystyle{\{a,c,d\}}$の外部、つまり$\displaystyle{\{b,e\}}$の内部を求めたいと思います。
$\displaystyle{\{b\}}$という開集合が存在するため、
$\displaystyle{b}$は$\displaystyle{\{b,e\}}$の内点です。
つまり$\displaystyle{b}$は$\displaystyle{\{a,c,d\}}$の外点です。
一方、$\displaystyle{e}$は$\displaystyle{\{b,e\}}$の内点ではありませんよね。
次に$\displaystyle{\{a,c,d\}}$の境界ですが、
これはもう、内部と外部が求まったので、もう分かりますねっ!!
以下に諸結果をまとめます(^o^ノ。
$\displaystyle{\{a,c,d\}}$の内部は$\displaystyle{\{c,d\}}$
$\displaystyle{\{a,c,d\}}$の外部は$\displaystyle{\{b\}}$
$\displaystyle{\{a,c,d\}}$の境界は$\displaystyle{\{a,e\}}$
はいっっ!!
これも「なるほど!!{a,c,d}の境界は{a,e}なんだね!」なぁんて、直感的にとても思えないと思います。
何度も言うように、数学は定義主義です。
確かにユークリッド空間以外の位相空間は、直感的に分かりにくいものばかりです。
しかし、こういう抽象的なものでも、内部・外部・境界という概念を作りだすことができたのです。
つまり、「内部・外部・境界」の意味を、一般的なものにも拡張した、と考えてもよいでしょう。
だから、「内部・外部・境界」の意味を広げることができた・・・
ということなので、本当は喜んでもいいことなのですよ〜…
このように、かなり抽象的なものでさえ、
意味を拡張することで、さまざまな議論ができるようになるからです・・・。
↑きっと、数学を初めてやる人には『そんなことして何が嬉しいんだょぉ』と思うだろうなぁ( 。-ω-)